基本的な測定事項は次の通りです。
 ◇サンプルの容積流量:ピストンの面積とスピードから計算
 ◇ダイで生じる圧力損失:ダイの入り口部で圧力を測定
 

S

ピストン・スピード(mm/min)

D

ピストン直径(mm)

Q

容積流量比率(m㎥/sec)=

LL

長いダイの長さ(mm)

LS

短いダイの長さ(mm)

d

ダイの細管直径(mm)

PL

長いダイ側で生じる圧力損失

Ps

短いダイ側で生じる圧力損失

PO

短いダイで生じる圧力損失(或は、 PL‐PSの値から外挿して得られるL/D=0の圧力)

みかけのせん断応力とせん断速度


▶ 式.01

◇無補正のせん断応力(τ)=

バーグレー補正によって入り口、出口効果を補正した真のせん断応力が得られます。

▶ 式.02

◇せん断速度(γ)=

みかけの粘度


式.03

◇見かけ粘度(η)=せん断応力(τ)/せん断速度(γ)

バーグレー補正


長いダイで生じる圧力損失、PLはダイスの入り口、出口で生じる圧力損失、即ち短いダイで生じる圧力損失:P0、及びダイスの内部で生じる圧力損失:P capillary、を加えたものです。(下図10、11参照)

上記から、補正された真のせん断応力の値は次式により得られます。
 

式.04

◇補正されたせん断応力(τcorrect)=

この時、POの値は、長いダイの圧力計測値、PLから短いダイの圧力計測値、PSを結んだ線を長さ0の点迄延伸しY軸と交わる点の圧力で計算します。(図12)
 
すなわち

式.05 

 
※バーグレー補正をOFFにして測定する事も可能です。

パワーロウ・インデックス:n


パワーロウ・インデックスとは、せん断粘度グラフの傾きになります。
ニュートン流体のパワーロウ・インデックスは、1になります。
よって、1に近づくほど粘度が低いということになります。
パワーロウ・インデックス、n は下記の定義によって計算される値です。

せん断応力 (τ)=k・(せん断速度、γ)n
 
 
すなわち

式.06

Log(τ)=Log(k)+n・Log(γ)
 
両対数グラフの横軸にせん断速度を取り、縦軸にせん断応力を取ってプロットした時、nは勾配を示す値になります。強い降伏値を持つサンプルの場合、せん断速度0の点では、nの値は0とか-の値になってしまいます。こう言った場合には、計算不可能になりますので、ソフトウエアでは自動的に0.01の値にしています。こういうケースが時折出てきます。R6000ではこういった不適当な値はグラフに描かせないようになっています。
ソフトウェアがnの値を測定中次々と計算しますので、せん断応力の値は常に補正された値で出てきます。nの計算精度を上げるため実測値をプロットし、その2次方程式カーブの接線の傾きをnの値としています。

ラビノビッチ補正


〈式2〉で定義されるせん断速度は、ダイスの内部でのポリマーの速度プロファイルが容積フローレートQからせん断速度が計算できると言う前提に基づいています。更に速度プロファイルはニュートン流体の時を想定しており、パワーロウ・インデックスn=1の時のものです。
しかし、ポリマーはニュートン流体ではありません。従ってせん断速度を〈式2〉で計算できません。
これを正しいせん断速度に補正するのがラビノビッチ補正と呼ばれる数式で、下に示すものです。
 

式.07

◇補正した真のせん断速度(γ)=

 
この補正係数(3n+l)/4nはキャピラリィ状の円筒細管を流れる時にのみ有効です。
スリット状の管の中を流れの補正係数は異なったものになります。
上記式7で補正したせん断速度の値、式4で補正されたせん断応力の値、これらの補正値を使って真に正しい粘度値が〈式3〉により得られます。バーグレー補正と同様ラビノビッチ補正をOFFにし無補正の値を得る事もできます。

伸張粘度


伸張粘度を近似する数式として様々な人々により各種の数式が提唱されていますが、下記のもの(一般に提唱者の名前をとってModified Cogswell式、Binding式などと呼ばれます。)が最も実用性があると認められています。よって、IMATEK社は、以下の数式により計算することを採用しています。
 

calculation.08

◇伸張粘度(λ)=

calculation.09

◇伸張応力(σE)=

calculation.10

◇伸張速度(έ)=